つとるば遺跡-館山市沼- 鐸鈴のまつり

 土製模造品に象徴される安房の祭祀遺跡のなかでも、他の遺跡にはない用具がみられるのが館山市沼のつとるば遺跡です。遺物は谷の中腹の狭い小範囲から出土していて、6世紀代の土師器(はじき)や大量の手捏(てづくね)土器(カラー図版参照とともに有孔円板(ゆうこうえんばん)や勾玉(まがたま)形、丸玉形、鎌状のものなどのほか、四鈴鏡(れいきょう)・五鈴鏡・七鈴鏡、五鈴釧(すずくしろ)、鐸(たく)などの振る音に関係する土製模造品があります。全国的にみても鈴鏡や鐸などの土製模造品は珍しく、特色のあるまつりが行われていたと考えられます。おもしろいのは大寺山洞穴(参照)と、直線距離にしてわずか1kmしか離れていないということです。のちに詳しく述べますが、土製模造品には強い地方色があるという指摘があり、大寺山の海人(あま)の風習と考えあわせると極めて興味深いものです。

1=つとるば遺跡  2=大寺山洞窟

1=つとるば遺跡  2=大寺山洞窟

22-1.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物

22-1.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物
土製模造品(有孔円板)

22-1.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物

22-1.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物
土製模造品(不明品)

22-1.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物

22-1.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物
(四鈴鏡・五鈴釧)

22-1.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物

22-1.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物
土製模造品(鐸)

(以上、千葉大学理学部地球科学科蔵)

22-2.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物

22-2.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物
土製模造品(五鈴鏡・舌)
國學院大學考古学資料館蔵

22-3.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物

22-3.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物
土製模造品(七鈴鏡)

22-3.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物 土製模造品(鐸)
22-3.館山市沼・つとるば遺跡出土遺物 土製模造品(鐸)

(以上、当館蔵)