古墳と祭祀(さいし)遺跡の双方から出土するのが石製模造品だが、用い方に区別があるのだろうか。その内容から共通して窺(うかが)えるのは、農耕祭祀の色彩が極めて強いということだが、注意すべきは神まつりの司祭者(しさいしゃ)である首長(しゅちょう)の葬送(そうそう)祭祀と、神に対するまつりが本来別個のものだということである。農耕に重要な意義があったために、そのまつりの要素が、古墳の葬送儀礼にも欠かせないものであったのだろう。農業による生産力の向上が、重要な生活課題であった当時の状況をよく反映している。